OWNER NOTE

気付きや所感など備忘録

古いストーブの修理には明確な目的を持たないといけない。記憶が美化され新品当時の暖かさを過大評価しがちだが、そもそも非効率なストーブは主要部品やガスケット交換程度で隙間が戻る事はなく、大きい薪を沢山詰め込んで長時間燃焼することが許された時代の品と、熱の取り出し方伝え方が高効率な現行品では暖かさはもちろん薪の消費も含め比較にならない。さらに低下した住宅の断熱性能が追い討ちし、修理をしても当時感じた暖かさや燃費を戻す事はできない。働き続けた往年の愛車は車検通しただけで新車になる訳がなく、燃費と効率の点で現代のコンパクトカーにかなわない。では修理する意味は何か?答えを考え持つことが必要である 。

2021.6

 「それ本物の煙突?」と現場作業中に質問を受ける時がある。と言う事は偽物も有ると言うことだろうか?煙突とは燃焼の過程で排出されるガスが持つ上昇気流を風による外乱から守り、燃焼を促進させる筒状の構造物。筒状の構造物なら本物も偽物も無いとなってしまう。質問の意図としては明らかに偽物を知っているようで、またある時は「これ本物の薪ストーブですか?」と聞かれる事もある。どうやら薪ストーブと煙突には本物と偽物が存在するという認識が世の中にあるようだ。高価=本物だとは思わないが、安物=偽物である事はあながち間違いではないかもしれない。まぁどちらにしても偽物で仕事する積もりも無いので質問には「そうですよ」と返している。

2021.6

 イタリアベローナで隔年開催される世界最大級のバイオマスエネルギーの見本市PROGETTO FUOCO。暖炉や薪ストーブはもちろん調理器、ボイラー、ペレット、燃料からコンポーネントなど諸々合わせて800近くの出店者。125000平方メートルの敷地に8つのパビリオン。70ヵ国以上から7万人以上の来訪者とまぁ日本では信じ難い規模だ。薪を燃料とする機器に求められる未来、年々変化するトレンドや方向性など最先端の情報に溢れ、 他にもヨーロッパ各国で行われていることからも、しっかりとした市場があると言うことがわかる。カーボンニュートラルや脱炭素、SDGsと言うワードが注目されるにも関わらず薪が取り上げられない日本の現状を理解した上で、少しでも浸透させるには何が必要か。企みを持続することが大切だと感じている。
2021.6

自宅では10数台ストーブを入れ替え使用してきた。その中で1450、2040、2040改、2550とアンコールだけで4種類。自分をストーブの世界に引き込んだモデルであり2017年まで名機2550と数年暮らした。これがラストストーブだと思ったその場所には現在ノルンが鎮座している。今でこそ国内で人気のノルンだが、初めて見たのは2017年。デンマークのHETA社に訪れた時だった。当時は520Bと呼ばれていて、飾り気のない凛とした街レムヴィで生まれたこのストーブはデンマークの繊細さとヒュッゲの世界観をまとっていた。最近流行りの縦型と言えばそれまでかもしれないが、自分にとっては出会いから日本で受け入れられるまでを見てきた特別な一台。これがラストワンになるだろうか、将又新たな出会いがあるだろうか楽しみでもある。
2021.5

創業当初から現在まであまりスタンスは変わっていない(つもりでいる)。経験や情報は当然増えるわけだが、自分の中に軸みたいなものがあって、時間は裏付けや根拠、修正の材料に過ぎない。その時々で理想や目的は持つが絶対ではなく結果を求めてはいない。流れに逆らわずやってきたし、これからもそうしようと思う。目的があって理念が無いのは節操がない。理念があるから目的が変わることだってある。結果と言うのは過程の断片であって、判断材料として見るには薄くお金をかけ奇策から生まれる一時的な結果は往々にして続かない。「今何をしているか?」が大事で「何をしたか?」「何をするか?」は重視しない。積重ねとはそう言うものだ。
2021.5

火のある暮らしをしていない人からストーブの提案を受け入れる人の気が知れない。 誰でも使えるエアコンやファンヒーターなら未だしも 。「家ではどんなストーブ使ってますか?」ストーブ選びに行ったなら真っ先に聞いてみると良い。ストーブはしょせん道具だが、焔の魅力や火のある暮らしは年中付き合っている人にしかわからない。良し悪し含めて火のある暮らしな訳で、受け入れられないならやめた方が良いですよって提案もあり得る。 本質に蓋をし製品の表面的な魅力だけを伝え物売る事が市場を大きくするとは考え難く、火を焚くということが文化であるなら文化的生活をしている人に相談すべきである。

 これから使い始める人もストーブ文化を創造する一人だと、 まだまだ途上中の日本にいて思う。

2021.5

薪ストーブは薪を燃料とする暖房器具。だが、仕事では暖房器具を扱っていると言うよりは火を扱っているという感覚が近い。他の暖房器具に興味があるわけでもないし、火のある生活が好でやってるからかな。ストーブ中心で物事考えるストーブ屋の多いこと。火が中心である事を忘れてはいけない。ストーブはあくまで入れ物。脇役。主役は火であり、焔のある暮らし。
『薪を焚くということが暖をとる以上の何かだと悟った日を、私は今でもありありと思い出せる』
“薪を焚く”(著者:ラーシュ・ミッティング、翻訳:朝田 千惠)のプロローグにある一文。おすすめの1冊。つい先日お話させて頂いた翻訳者の朝田さんは、とても柔らかな雰囲気で素敵な方でした。貴重なお時間ありがとうございました。
2021.5

創業から10年以上、この業界に就いてから20年以上経ち情報や体力的に充実していた折、ドイツで受けた研修はその後の自分の方向に大きな影響を与えている。
ドイツ国内に3~4ある煙突掃除人のマイスター養成校。 大小の掃除人組合が50近く。2~3人規模の掃除人チームが全土に約8000社、20000人以上の煙突掃除人がいると言う。ヨーロッパ全体となると想像もできない。歴史が土壌や法規を作り人々の理解につながるといった文化や懐の深さを感じた。片や小さなパイでシェアの奪い合いをしている日本の現状・・・
あれから数年、仲間と業界の為にと協会で奮闘しているが、そんな自分を突き動かしている原動力の一つだろう。
2021.5

日々設置工事やメンテナンスを行う中で、効率を上げる為オリジナルの道具を作ったり工具を改造するなどして作業を行っている。
開業当初に比べ時間は短縮されているが、作業の中身は倍以上だという自負もある。ホームページを見たりお店に足を運ぶだけでは中々見えてこない部分だ。
売り手の顔も見ずにネットでモノ買う使い捨て時代にあって、店とも長く付き合うならじっくり話をして決めるのも悪くないと思う。話は得意ではないが嫌いではないので声をかけてみて下さい。
2021.5